カオールからの巡礼道をたどるツーリング

使った地図と資料
1.地図;MICHLIN 20万分の1 524 ‘Aquitaine’
2.地図;MICHLIN 20万分の1 525 ‘Midi-Pyrénées’
3.地図;MICHLIN 15万分の1 336 ‘Gers Lot-et-Garonne’(自転車にはこの縮尺の方がいい)
4.ガイドブック;Miam Miam Dodo Le Gude  Secton2 Cahors/Roncevaux (歩き巡礼用のガイドブック。カオールの案内所で購入18€)
5.ガイドブック;The Way of St James A cyclists’ Gaide by John Higginston(ルピュイからサンチャゴコンポステラまで自転車で走った記録。コンパクトで詳細で、手に入れば非常に役に立つ本 19.95㌦)

6/5(月) 東京 ―空路― トゥールーズToulouse泊

ibis Styles Toulouse Gare Centre Matabiau(3つ星)朝食付き

6/6(火)  トゥールーズ ―輪行― カオールCahors泊

この日は走行なし 電車でカオールまで移動して終日カオール観光
トゥールーズ発   カオール着
    9:01    →  10:31

電車の時刻は、事前にネットのフランス版乗り換え案内で調べておいた。
駅前は、4年前は工事中だったがすっかりきれいになっていた。駅前広場で自転車の試走、問題なし。ラグビーのワールドカップに関係した「Toulouse」の大きな看板の前で記念撮影。
 カオールまでの乗車券を買おうと窓口を探したが見当たらず、自動券売機を操作するがうまくいかない。遠距離と近距離で券売機が違うらしく、手伝いのスタッフに助けてもらった。カード払い4人で82.4€。
 発車まで時間があったので、前回はマクロン大統領が来るので入れなかったキャピトル広場の市庁舎を見に行ったが、時間が足りず今回も入れず。


朝のトゥールーズ駅

 自転車を電車にそのまま載せ、短い編成の電車が定刻に発車。車窓はすぐに、丘陵、畑、林、小さな村などの田舎の風景になる。

トゥールーズ駅ホーム
二人で荷物を付けた重い自転車をホームに上げる
自転車を載せていい車両
カオール駅

 カオールはロト川(Le Lot)が文字通りの巾着型に蛇行したその袋の中にあり、静かで小さな古い町。前回のルピュイからフィジャックまでのツーリングでは、この川沿いをたどって走った。ロト川は、このあと巡礼道から離れ、幾度も蛇行しながら西へ流れ、ボルドー近くでトゥールーズから流れてくるガロンヌ川と合流し大西洋へそそぐ。
 ロト川にかかるヴァラントレ橋(Pont Valentre)は世界遺産で、この上を巡礼道が通る。自転車を引いて渡る(巾着の外に出る)。巾着にそって反時計回りに川沿いを、ワイナリーを右手に見ながら走り、巾着の底にある橋を渡って中へもどる。カオールは黒ワインで有名。ここで使われる黒ブドウのマルベック種のため非常に濃い赤色のワインができる。
 レストランの外テーブルで昼食をとっていると、通りをデモ隊がゆったり通る。年金の支給についてだろうか、たくさんの人たちが参加している。 
 観光案内所でガイドブックと地図を購入。日本人の歩き巡礼熟年夫婦がいて、旦那さんが翻訳機を使って熱心に係りの人に質問をしていた。サンティアゴコンポステラまでは二人にとってかなりの冒険に見えるが、それを実行するなんて素敵な夫婦だ。

サンチャゴコンポステラへの巡礼道が通る世界遺産ヴァラントレ橋

早速、巡礼道の標識を発見
大通りのデモ行進

 サンティティエンヌ大聖堂(Cathedrale St. Etienne de Cahorsや屋内市場を見て、そのあと宿を探した。近づいているはずだが見つからない。自転車を引いて狭い路地をぐるぐる。店番をしていたお姉さんに住所を見せると、親切にも一緒に探してくれ、通りに面したドア脇のボックスに入っている鍵を見つけて、ようやく入ることができた。
 アパートは、旧市街によくある、狭い路地に面して隣とぴったりくっついた17、18世紀?の古い、古い、建物。その中をいくつかに分けて改装して貸している。とにかく古くて階段などは薄暗くすり減っている。宿泊費が安く、長期滞在用。
 お礼にワインを買ってお姉さんの店までもっていくと、なんとその店ではワインを売っているではないか。私たちは宿を探すのに夢中で、尋ねた人が何屋の人なのか意識の外だったのだ。お互いに笑い合い、彼女はこの店はイタリアの食材屋だから、あるのはイタリア産ワインだと言い、遠慮がちにフランスワインを受け取ってくれた。この店で夕食用のパスタを買った。

サンティティエンヌ大聖堂
カオールの屋内市場
通りに面したドアの次のドア
中庭から見上げた3階の窓が今日の部屋
通りに面したドアから3つ目のドアでようやく宿である建物の中に入れる
カオールの黒ワイン
キッチンで作った夕食のパスタ

2 chambres 88m2 Extra centre historique Cahors vaste appartement convivial et cosy(こんな長い名称のアパート)ダブルベッド2台 ソファーベッド3台 キッチン 洗濯機 冷蔵庫 電子レンジなどあり
住所 76 Rue du Maréchal Joffre, 46000 Cahors, France Tel. +33 6 13 54 73 08
ネットで予約 4人で €78.64(約11,834円)

 朝出発前に、カオールの東側の高台に広がる旧市街を走ったと言うか自転車を押して登った。公園Place Lafayetteからはロト川が見下ろせて見晴らしがいい。

カオールの朝、高台の 公園からロト川を見下ろす
   旧市街の住宅地の中の小公園

 カオールから乗った電車をモンタルバンMontauban Ville Bourbonで乗り継ぎ、モアサックの駅に着くと、人影はまばらで、静かで日差しが強く暑い。世界遺産サンピエール修道院Saint-Pierre Abbeyはどこだ?多分あれだ。遠くに見える尖塔を目指して走る。

 修道院は、ロマネスク美術の傑作と言われるだけあって圧倒された。日本語のパンフレットをもらった。これまで見たロマネスクのどの修道院よりも素晴らしい!だが、午後の休館の時間が迫る。もったいないが足早に見学。たっぷり半日はかけたい所。残念。

モアサックまでの電車の中
ロマネスクのサンピエール修道院
 柱の装飾が素晴らしい回廊

見つけた運河沿いのサイクリングロード はるか先はボルドー
   ガロンヌ川を渡る
ガロンヌ川はここで大きく膨らむ 遊水地?
  ここからオヴィラール
「フランスで最も美しい村」の標識
      時計塔
     円形市場
ガロンヌ川が見下ろせる高台
眼下には大きなガロンヌ川 この橋の上を巡礼道は通っている
   収穫間近の麦畑
  今夜の宿のある村の入り口

 オヴィラールを後にして、今夜の宿のあるサンタントワーヌSaint-Antoineの村へ。ここまであたりはほとんど畑か林で、車も人も見かけなかった。
 サンタントワーヌは小さな教会の周りを20軒ほどの家が取り囲む小さな村で、今夜の宿Maison du boisはその中心。巡礼道はこの村の南を通っている。
 宿の女主人がてきぱきと対応してくれる。夜はこの宿のレストランでほかの巡礼の人たちと一緒に。メインディッシュはチキン。
 この記録をまとめるために地図を見て気付いたが、この日、運河沿いのサイクリングロードをもっと先へ進み、ポムヴィックPommevicで運河から離れ巡礼道に入り、ガロンヌ川を渡れば、楽にオヴィラールに着くことができたのだ。

 朝食はクロワッサンと手作りのジャムやマーマレードが並ぶ。
 出発前にこの小さな村をぐるりと散歩。高台にあるので、城壁からの見晴らしがいい。
 実りを迎えた麦畑の丘陵を走ると、道端には赤いひなげし(コクリコ)が咲いている。与謝野晶子は夫鉄幹を追って渡仏し「ああ皐月 仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟」と詠んでいる。
 つばめが飛び交い、紫の藤の花も咲いている。ひまわり畑、麦畑。麦畑にもいろんな色がある。道端にはブラックベリーの花、どこの町や村に行っても菩提樹の大木があり、クリーム色の花盛り。

    ボダイジュの花
    朝の宿Maison de bois
  Maison de boisの朝食
サンタントワーヌの教会
    歩き巡礼の姿


 コクリコ(ナガミヒナゲシ)
  「仏蘭西の野は火の色す」


 サンタントワーヌを後にして、畑の間を通るD953でフラマランへ。この小さな村で巡礼道と交差。ここも人気のない小さな村、崩れかけたフラマラン城、古い教会。巡礼宿のドアのところにリュックが並んでいた。次の宿泊地まで荷物を運ぶサービスがあるのかもしれない。

     フラマラン
    
    休憩する巡礼
  カステルアイの入り口

 さらにD953を進むと高台のミラドゥーの村。ここから道はD23になる。まもなくカステ=アルイへ。昨夜の宿のマダムおすすめのこの村のレストランLa Planchaで昼食。このレストランの前を巡礼道が通っているので、次々と巡礼の人がやってくる。お客は、私たちを除いてすべて歩き巡礼の人。
 ステーキは、嚙んでも嚙んでも呑み込めない硬い牛肉で、あごが鍛えられる。テーブルの間を行ったり来たりしている犬にこっそり与えた。この犬が太っているわけがわかった。 

   カステルアイの昼食
    硬いステーキ

 今夜の宿のあるレクトゥールも高台。町に入る手前で、DIYもある大型スーパー Intermarché SUPER Lectoureに寄って、夕食と朝食の食材を調達。
 宿のA2 PASはなかなか見つからない。そのはずで、入り口は旧市街の狭い通りに面した店と店の間の小さなドアで、見逃しそうな小さな表示。ドアを開けてもらうと暗い細長い通路、その先の小さな中庭に光が。木造と石造りとで違うが、京都の町屋に似ている。 
 昨夜のサンタントワーヌのマダムがここのマダムと知り合いだと言っていたので、そのことを告げると、伝言はないかと聞かれ、ないと答えるとちょっとがっかりした表情。

町の入り口の大型スーパーで食材を購入
レクトゥールの大聖堂
レクトゥールの宿の入り口のドア
   レクトゥールの路地

 大聖堂を見学。聖歌隊の椅子、皮で作られたキリストの像が見どころ。入り口でクレデンシャルのスタンプを押してくれている(多分ボランティア)男性がなんと日本語を話す!飯田橋や富士見町と言う地名が出てくる。50年前に東京でフランス語講師をしていたとのこと。日本語は忘れたと言うが、いえいえ、意思疎通はちゃんとできるレベル。
 この町はパステルで有名なので聞いてみると、工房へ案内してくれるといい、車でふもとにあるBleu de Lectoure社へ連れて行ってくれた。パステルと言えばパステル画などを思い浮かべるが、実は植物名で、その葉でブルーに染める。染めている作業がカウンターの向こうに見え、紙や布などを様々な濃淡のブルーに染めた製品が売られていた。若い女性職人とスマホの「Google 翻訳」を使って、日本の藍染めの話などをした。
 パステル染めもそうだが植物で染めた柔らかな色合いは、ロマネスクの雰囲気とどこか共通するものがあるように思う。ここまで送り迎えしてくれた彼には、急いで買っておいたワインをお礼にさしあげた。

   パステル工房
   植物 パステル
   キッチンで作った夕食

 

A2 PAS (これがホテル名)
トリプルルーム(シングルベッド3台)とダブルまたはツインルーム(シングルベッド2台) 朝食付き。両方の部屋に 冷蔵庫 簡易キッチン キッチン用品 電子レンジ コーヒーメーカーなどが付く住所 56 rue Nationale, レクトゥール, 32700, フランス 電話 +33670993779     4人で€190(約28,205円)


 出発して間もなく怪しい空模様。やがて合羽を着るほどの雨になる。D7をたどりコンドンに着くころには雨が上がり日差しが出ていた。びしょ濡れ。ひさびさの大きな町で、アルマニャック(コニャック)の集積の町。カテドラルを見学。

コンドンのカテドラル
    教会前の広場

 コンドンの西はずれのPony des Carmes橋を渡り、山道を「フランスで最も美しい村」ラレシングルへ。
かなりの下り坂だったので勢いで道の分岐を通り過ぎてしまい、その先で見つけた裏道から村へ入る。
 暑くまぶしいほどの晴れになる。小さな村の中に、堀で囲まれたそれまた小さな要塞があり、要塞の中のレストランBistrot Château Larressingleで昼食のカレーを食べながら、ぬれたものを石垣に広げて乾かす。ここでカメラが壊れ、以降スマホで撮影。

  ラレッシングへの登り
 道端のブラックベリーの花
   要塞の入り口
  ぬれたものを乾かす
 要塞の中のレストランで昼食
     サラダとカレー
 要塞前の花盛りの菩提樹
 アルマニャック用のブドウ畑
   ここからモンレアル

 今回は、農道と言ってもいいくらいの畑の中の細い道をいくつも通ったが、車もほとんどなく舗装もしてあり、それぞれの道には番号がついていて、小さな分かれ道でも標識がしっかりしているので迷うことはなかった。
 なだらかな丘陵と畑。教会の鐘が響く。
 今回のツーリングでは、道路にハリネズミ2匹、ノウサギ1匹がひかれていた。ツバメの姿をよく見た。スズメは日本のものより小さい。

泊まった宿 右はプール

 モンレアルドゥジェールの入り口で木の外壁の建物群をみる。何だろうと思って通り過ぎると、実はこれが今晩の宿。
 ゲートを通って受付へ。広い敷地の中に、2階建ての同じ形の建物が何件も並び、コンドミニアム形式。プールがあり、子どもたちの声でにぎやか。泊まれるレジャー施設だ。
 この町は東西に細長く、人気のない町中の道をどんどん進むと広場があり、それに面して教えてもらった小さな食料品店Proxi。ここで、今晩と明日の朝の食材を買う。広場を取り囲む建物は、アーチ状の装飾の回廊を持つのが特徴。



広場を囲むアーチ状の回廊 人影なし

Domaine de Saint Orens – Résidence de vacances – Montréal du Gers
朝食なし ベッドルームが3部屋 キッチン付き
住所: Lieu dit Saint Orens, Montréal, 32250, France
電話: +33 5 62 68 38 93     4人で€155.70(約22,884円)


 部屋のキッチンで作った朝食を食べ、出発。晴れ。D29をたどりブルターニュ=ダルマニャックへ。途中巡礼道とクロスする。オーズはやや大きな町で古い歴史がある。
   Musée Archéologique / Le Trésor d’Eauze Archaeological Museum(博物館)に入るが、ローマ時代のコインのコレクションがすごい。ここもローマ帝国の一部だったのだ。ほかの見学者はいなくて静か。受付の若い女性は日本に行ってみたいと言っていた。入場料€6。
 観光案内所でアルマニャック(コニャック)の小瓶を購入。オーズは木骨づくりの建物の外壁が特徴の町。

          歩き巡礼道
    ここからオーズ
    木組み造りの家
   オーズ の博物館
    ローマ時代のもの

 D30をカンパーニュ=ダルマニャックまで走り、そこで左折してD258に入る。しばらくすると小さな人気のないアイジューの村に着き、教会のゲートの中の斜面の木陰でパンを食べていると、奥から教会の奥さんが出てきて、ドアを開けて中を見せてくれた。

    レアンの教会
    給水塔の陰で休憩
 ダルマニャックの醸造所
アイジューの教会の木立の中でパンの昼食
  人影のないパンジャの辻

宿のあるロジュザンの手前で、あたりにも中にも、人っ子一人いないが何か競技をやるような広場を見つけた。説明板によると、肉屋が牛の質を調べるために通りに牛を走らせたことが起源らしい。コース ランデーズCourse Landaiseと言い、中世からのこの地方固有の文化。若者たちが技術と勇敢さを競うために牛を疾走させそれに同行するもので、繰り返し禁止されてきたが、19世紀初頭、レース広場が誕生し、最近フランスの物質文化遺産に登録された。現在使われている牛は、地元の古い品種ではなく、スペイン原産の牛とのこと。
 このことは説明板に書かれていて、スマホに入れておいた「Google翻訳」のアプリで写真を撮影して、その場で翻訳。世の中は驚くほど早く便利になって行っている。現在地もローカルな道も簡単にわかり、航空写真を見れば道幅、路面状況、交通量がわかる。どんな言語の会話も、お互いスマホを見せ合うことでスムースに進む。あと残る課題は電話での会話だろうか。この様なツーリングを始めた10年前とは隔世の感がある。

 コースランデーズの競技場
  コースランデーズの説明板

 
 予約しておいた今夜の宿は、巡礼道から少し離れている。それは、やはり人っ子一人見当たらないロジュザンという小さな村の、さらに林の中のわき道を入ったところにあった

  小さな辻にも標識がある
  今夜の宿Domani Pierrot
     宿の広大な庭

 宿泊者は私たちだけ。夫婦二人だけでやっていて、建物も中も広大な庭もそこからの眺めも、すべてが美しくまたかわいらしく、まるで絵本の中にいるようだった。二人はここを買い取り、長い時間をかけて手を入れ、自分たちの夢を実現したとのこと。飼われている3羽のにわとり、黒猫、犬もまた、この夢の重要なピースだ。目に入る何もかもがぴったりおさまっていて、これはもう完璧としか言いようがない。

クロネコもニワトリも絵本の挿絵のよう
 
  特別に出してもらった朝食 
 計算されつくしている

 この宿は、夕食も朝食も付いていない。夕食がないなら、宿の近くにレストランがあるはずと思い、食べるものを何も用意してこなかった。近くにレストランはないかと聞くと、ノガロNogaro、エスタン Estang、オーズ Eauzeなどの地名があがるが、車の人はともかく私たちの自転車では半日かけて走る距離にある。「酒屋へ三里 豆腐屋へ二里」と言う言葉があるが、辺鄙さこそがここのよさなのだ。奥さんが出かけるついでに、ピザを買ってきてくれることになった。月は半月で、夜は9時を過ぎても明るい。
 朝食は特別に奥さんが用意してくれた。手作りジャムとマーマレードとクロワッサンとカフェオレ。これも雑誌に載っている写真のようで完ぺき。

Domaine Pierrot (ドメーヌ ピエロ)   
Doubleルームにに3人、 Doubleルームに1人 キッチンなし 朝食なし
住所 190 route Louis Joseph Cantau lieu dit Pierrot, Laujuzan, 32110, France 電話 +33663560585    4人で€192,79(約28,787円)

6/11(日)  ロジュザン ― 走行 ― ジョーヌGeaune泊

 ロジュザンからD244をたどるとすぐにモルメスの村。通りに面したお宅に巨大サボテン、おばさんが出てきて少し話す。そこからD32でル・ウガへ。村の中を通る道が、クランク状の古い町で、教会はお城のようだ。
 アップダウンの繰り返し、畑は、麦、一見トウモロコシに見える牛の飼料、ひまわりなど。プラタナスの並木の日陰、道路際の野の花が美しく、ここでも満開の花をつけた菩提樹の大木。

 アドゥール橋を渡って11時前に、ややにぎやかな町エール=シュル=ラドゥールに入り、アドゥール川L’Adour岸の公園で休む。釣り人、カエルの声、ゆったりと流れる土色の水。今回フランスで見た大きな川の水はすべてこの色をしていた。巡礼道はこの橋を通っている。案内所が近くにあるが、日曜なので閉まっている。  

  アドゥール橋 巡礼が次々と渡ってくる
 上流方向 水はゆったりたっぷり流れる

 旧市街の中心にある12世紀のAire Cathedralは日曜礼拝中で、パイプオルガンと讃美歌が中から聞こえてきた。出口の上を見上げると小ぶりのパイプオルガンが見えた。顔を出したオルガニストの男性と目が合い、あがってこいと手招きされた。入り口脇の、時間が止まったような石造りの体一つほどの幅のらせん階段を上るとすぐに演奏席が見え、そばまで行って聞かせてもらった。この男性は、バミューダパンツのラフな格好で演奏していたのがちょっと驚き。

    ウガの教会
 日曜礼拝中のAir Cathedral
  パイプオルガンの演奏

 通りすがりの人がお菓子の袋を持っていて、すぐそばの菓子屋Pâtisserie Daugéを勧められ、その人が持っていたものと同じ松の実の焼き菓子を買う。

 教会広場に面したお菓子屋さん
左は人気の松の実付きのクッキー
坂の途中でも登り切っても人に出会わない
急坂の上のだれもいないBasilique Ste-Quitterie du mas大聖堂
昔の巡礼姿 杖にはひょうた   ん、帽子にはシンボルの貝殻

 D2で、高速道路をくぐり、今晩の宿のあるジョーヌへ。ところが日曜なので店がすべて休みで、レストランどころか水すら買えない。広場の泉の水が飲めないかと近くにいたおじいさんに聞くと、広場に面した自宅から冷たいレモンジュースを持ってきてごちそうしてくれた。そのあと、彼は中古の自転車屋、骨とう品店、メデュヴァル庭園、教会などを案内してくれた。
 教会の前庭には、左右の生きた木の枝が上でつながってできたパーゴラがあったが、なぜあんな風に木の枝どうしがつながるのか不思議だ。

   ジョーヌの教会
   メデュヴァル庭園
   ジョーヌの古道具屋さん
  ここも古道具屋さん
  中古の自転車屋さん
生きている木の枝が上で結合してパーゴラ状になっている
    ジョーヌの宿
   夕食のサラダ
 夕食後のアルマニャック
      朝食

 4時近くにチェックイン。宿のマダム、カルメンさんが、何度か、庭のプールに入らないかと言う。そういえば、自転車で走っていると、豪邸でもない普通の家にプールがあるのを見てきた。ここが海から遠い場所だからか、それとも暑いところなのか、それともみんな裕福なのか。
 マダムから、夜にコース ランデーズがあるので行かないかと誘われた。残念だが、暗い中、自転車では行けないのであきらめる。今夜の客は私たちだけ。
 夕食は、お取り寄せのバルサミコソースのキウイのサラダ、プレートは鴨と砂肝のロットコンフィを、マダムと一緒にテーブルを囲んでお話ししながらいただく。ここでも「Google 翻訳」が活躍。その後、客間に移動してオーズで買ったアルマニャックをマダムと一緒に飲みおしゃべり。この旅で最初で最後の優雅な食事だった。
 夜、なんと雷雨と雹が降り、一時停電!コース ランデーズはあったのだろうか。

L’ESTANQUET DE LA BASTIDE
3 Double Rooms 朝食付き  住所 18 Rue Gourgues, Geaune, 40320, France
電話: +33661565600     現地払い 4人で €338.65(約50,097円)

 この日は、小さな村々をたどる畑の道。ジョーヌを出発して、D111を走りすぐにクレードへ着く。左右が麦畑の道を走り、次の村のパンボでは巡礼道とクロスする。この村には、鐘が2つ付いている古いロマネスクの教会がある。
 パンボからD32を走り、アルザック=アラジーゲへ。ここはやや大きめの町で、スーパーCarrefourcontactで、昼食のサンドイッチと今夜と明朝の食材を買う。これまでの宿には石鹸がないことが多かったので、スーパーのとなりにある薬局で1個買った。
 広場でサンドイッチの昼食。

     パンボ
    巡礼道の標識
    道端のテイカカヅラ
 パンボの教会のドア
    右へ
  パンボの教会
  アラジーゲのスーパー

 D111でヴィーニュを経由してフィシュ= リュマユーへ。ここから道はD278になるが、歩き巡礼道がラルールまで重なり、巡礼の歩く後ろ姿を見かけた。さらに巡礼道のD49でユザンに行く。ユザンには端正な尖塔の教会があり、ここでも巡礼の姿を見かけた。

    歩き巡礼
   ウザンの教会
   宿の庭からかすかにピレネーが見える
     アルノの宿  Git

 これ以上巡礼道をたどることはやめ、アルノへ。宿はサーキット場のある山の上にあり、近づくとエンジンの音が聞こえてきた。
 シンプルな造りの宿で、前庭からピレネーが見えた。サンジャンピエドポーに近づいている実感がわく。ほかに客はなく1軒まるごと貸し切り状態。マダムが対応。日本人の巡礼が10人泊まったことがあると言っていた。

Git chez BOUBET 1       
2 Bedrooms   素泊まり キッチン、洗濯機付き  3室
所在地: 11 Camin deu circuit Arnos, フランス 64370 電話:+33661036892  4人で€74.96(11.355円)

6/13(火) アルノ ― バイヨンヌBayonne泊

アルノ -30㎞- ポー Pau ― 輪行― バイヨン   走行距離30㎞
当初の予定:アルノ ― アルティクスArtix ― 輪行 ― バイヨンヌ

橋を渡るとポー駅

 予定外なのでどんなところなのか全くわからない。日本に帰ってから調べると、ポーは南フランス有数の観光地だった。
 駅前のクラシックでかわいらしいケーブルカーLe funiclaire(1908年から)が台地の上まで往復している。無料。自転車も車いすもベビーカーも持ち込み可。もちろんそれを載せる専用のスペースがある。あっという間に到着。
 登りきると旧市街の白く美しい建物群と広い通りが目の前に現れ、圧倒された。案内所で地図をもらい見学開始。

ケーブルカー
ケーブルカーの上の駅からピレネーが見える
ケーブルカー下りると目の前に広がる白くて重厚な建物群
     ボーモン城
   ボーモン城
    ボーモン城
   サンマルタン教会

   
 

バイヨンヌ駅
駅を背に、アドゥール川に架かる橋を渡って街にはいる
右からアドゥール川が左からニーヴ川が合流するところにある市庁舎

 手配会社カルメンの事務所の外にあるボックスから、暗証番号を入れて鍵をゲット。宿を探して旧市街の中を走る。近所の人に手伝ってもらってようやく見つけた古い建物には、玄関ドアとは思えない古くてすり減ったドアが。鍵穴もすり減っていて、隅っこについていているので、鍵を差し込むと手が右の壁に当たってしまう。うーん。日本だったらとっくにドアごと新しくしているところだ。

                         豪華なキッチンセット

戸棚から探し出した宿泊者の残していった食べ物で、空腹を満たした。

 中はウナギの寝床状で、細長い通路が奥に延び、突き当りには裏の路地へ出るドアがあった。映画に出てくるような狭い暗い古い、手すりがぐらぐらしていそうな階段、各階に貸間が2つ。3階にある部屋に入ると建物はぼろぼろなのに、流し台やオーブンなどのキッチンセットはおしゃれで最新のものが入っていて、立派で大きなオーブンが2台、IHヒーター、手をかざせばふたが開くごみ箱。
 住宅街のせいもあるが、レストランも店もこの時間は開いていなく、こんなに時間がかかると思っていなかったので、食べ物を用意していなかった。腹ペコ。
 しかし、朝から今日は何と言う日だったのだろう。

Appartement Bayonne, 3 pièces, 6 personnes – FR-1-239-709
朝食なし キッチン 冷蔵庫 電子レンジ 洗濯機付  住所 20 Boulevard rempart lachepaillet, 64100 バイヨンヌ, フランス 
電話:+33559010107  2泊4人で €320(約47,584円)


6/14(水) バイヨンヌ連泊

終日バイヨンヌの町の観光  13日と同じアパートに泊まる

                   二つの塔がそびえるサンポール大聖堂
   上 バスク料理の昼食      下 バスクとバイヨンヌの歴史博物館

バイヨンヌは、スペインから初めてフランスにチョコレートがもたらされた町で、たくさんの専門店がある。

   チョコレート屋
    ショコラムース
右がプチバイヨンヌ 左がグランバイヨンヌ

 15日はサンジャンピエドポーに行く予定だったので、ダイヤの確認をしに駅に行くと、本数が少なく、しかも自転車は電車に載せられないと言われたので、明日は、近くのサイクリングロードを走ることにした。
 シャワーを浴び終わると、どこからか太鼓の音が聞こえてきた。サンダルを履いて音を頼りに下の公園に行くと、地元の人たちが、太鼓の練習をしていた。撮影しているとおいでと言われ近づくと、あっという間に太鼓の紐を腰に巻き付けられて、練習に参加させられた。ちょっとややこしいたたき方のところに来ると、小学生ぐらいの少年がちらりとこっちを見る。きっと間違えてないかこちらに気を遣ってくれていたのだ。


6/15(木) バイヨンヌ連泊

終日、アドゥール川沿いにビアリッツまでサイクリングと旧市街観光

  サイクリングロードはアドゥール川沿い
   アドゥール川をたどると大西洋に出会う

 松林のなかにリゾート風の別荘が立ち並び、ちょっと湘南に似ているかも。駅のある町ビアリッツBiarritzまで走った。ビーチ、カジノ、聖母の岩、ナポレオン3世の妃の別荘(今は高級ホテル)など、ここは高級リゾート地。公衆トイレがユニークで、終わってボタンを押すと便器だけでなく床まで水が勢いよく流れる。
 レストランの屋外席で昼食。レモネード、イカ、バスクバーガーなど。肉がおいしい。
 帰りは、閑静な住宅街の中を通るマルヌ通り、ビアリッツ通りをアングレットAngletまで走り、そこから交通量の多いD810でバイヨンヌまで戻ると、昨日の太鼓の練習があった公園の脇に出た。

      ビアリッツののビーチ
  ナポレオン3世妃の別荘 今は高級ホテル

 夕食はホテルのレストランで、ステーキ イカ ビッグサラダなど。肉はやはり硬い。明朝は早い。空港までのタクシーの予約をした。


6/16(金) 帰国

16JUN  AF7485  BIQ CDG   0710 0845  16JUN
16JUN  JL 046  CDG HND   1900 1545  17JUN(羽田には17日着)

朝5時にタクシー2台、チップを含めて€50。輪行袋は、オーバーサイズだったので取扱い口を探して、空港内を右往左往。重さだけで、サイズの測定はなかった。